電子薬歴のメリットは業務効率化だけではありません。患者さんとのコミュニケーション活性化、在宅医療の現場や薬剤師教育など、さまざまな面で電子薬歴は活躍の可能性があります。
ここでは実際に電子薬歴を導入した薬局の事例を紹介しましょう。
期待どおりに業務の効率化が図れ、導入後は薬歴の質とスピードに関する課題が改善されました。
在宅業務でも移動しながら薬歴を書けることに加え、薬歴が報告書や計画書と連動しているので書類作成も早くなりました。
訪問先での検査値や状態を画像保存できるので、薬歴の厚みも増えたと実感しています。
全体的に、業務に追われていた状態から業務を追いかける状態になりました。以前よりも対人業務に時間をさけるようになったので、今後はしっかりと服薬指導の質を上げていきたいと考えています。
導入から1年程度で薬剤師の薬歴残業がなくなりました。
以前は薬歴が後回しになりがちで、患者さんとのやり取りを思い出しながら書くため時間がかかっていましたが、電子薬歴なら服薬指導しながらその場で薬歴が書けます。
自ずと次の患者さんまでに完了させようとする意識が働くのが大きいです。
また、データがクラウド上に保管されるので薬局外から見られるようになったのも大きな変化です。
他店にヘルプに行った薬剤師が自店舗に戻って薬歴を完了させるなど、場所に縛られずに作業できるのは昨今の働き方改革の風潮にもマッチしています。実際に、電子薬歴導入後に薬剤師の有給取得率が上がりました。
薬剤師1名と事務スタッフ1名の2名体制のいもと薬局。色々なシステムを試してみましたが、オールインワンで便利そうだと思い電子薬歴を導入しました。実際に使ってみると、画面が見やすいという点が一番の驚いたところです。また機能が順次使いこなせるだけでなく、カスタマイズも可能で、在庫管理などにも活用しています。バックアップデータがUSBに保存でき、2次元バーコード読み取りにも対応できるなど、使い勝手の良いポイントが満載です。
広島市内を中心に「すずらん薬局」などを展開しており、2005年頃より在宅医療にも本格的に取り組んでいる薬局グループです。
2014年3月よりモバイル電子薬歴のテスト運用をスタート。要求する電子薬歴の機能として、起動時間が短く操作性が優れていること、これまで使用してきた電子薬歴の機能を再現していること、在宅・窓口の業務効率化を挙げていました。
タブレット端末が薬剤師をサポートしており、コミュニケーションの活性化など、きめ細やかな在宅医療が実現できました。的確な情報提供ができるなどのメリットも。業務の効率化アップやスタッフの業務負担の削減にもつながっています。
レセプトも薬歴も電子化した方が、業務も大幅に短縮できるため大きなメリットがあると思います。私自身もパソコンは苦手な方だったため、何も分からない状態からスタートしました。そのため導入直後は苦労したのは事実です。でもテンプレートも作られており、キーボード入力も徐々に慣れてきました。電子薬歴の情報量は非常に多く、文章のレパートリーも増え、指導する内容も詳しくなるなどの魅力も。薬の名前が分からない患者にも画面を見せながら、確認することも可能です。
愛知県日進市エリアを中心に医療・地域住民の健康をサポートしている調剤薬局です。高齢者だけでなく留学生・外国人職員なども薬局を利用しており、サービス改善や向上を図っています。
電子薬歴レセコン一体型システムを導入。このシステムは操作の慣れも早く、自由度の高いマスタによって、入力ミスも防げるなどの魅力があります。また外国人に対応したスマートな英語での薬剤情報も出力できるので、言語の問題解決にもつながります。また変更点を見逃さないように色分けされた処方比較機能で、変更をすぐに理解でき、患者にもしっかりと説明可能です。認識を合わせるように服薬指導ができ、過誤防止も図れています。
東京都や埼玉県を中心に店舗を設置している調剤薬局です。グループ全体で薬剤師の業務支援システムを導入しています。システムを導入することで、システムに搭載されている薬袋・ラベルの編集機能を活用して、患者に合った薬の情報を印刷。患者に薬を正しく服用しているうえで重要になります。
また投薬までの待ち時間・薬歴記入時間の短縮し、ミスなく薬を届けることが目標です。そのためレセコンでは患者の要望や処方内容に合わせて、使いたい薬袋・ラベルのフォーム編集や設定を事前に行えます。電子薬歴の運用では申し送り・確認項目の機能も監査で活用。ミスも大幅になくなり、スタッフの労力の軽減などの効果も得られています。
感覚的に使える電子薬歴を選択したので、導入のハードルも低かったと感じています。ボタンの配置も画面展開もシンプルでわかりやすいので、スタッフの理解もスムーズでした。
もちろん薬歴や服薬指導の充実という効果もありました。
以前は薬歴入力に時間がかかるため、患者さんに特段の変化がなければ「特に変化なし」で済ませることもありましたが、電子薬歴では手間を感じないので細かく記録するようになりました。
引き継ぎ機能のおかげで問題を共有したり、他の薬剤師のアドバイスが残っていたりすることもあります。
そのほか、電子薬歴が指導内容や生活習慣のアドバイスを提案してくれるので、新しい気づきや患者さんとのコミュニケーション活性化に役立っています。
服薬指導を大切にしていますが、時間は3分以内と決めています。人は基本的に3分以上の説明は頭に入らないというデータを示した論文もあります。
その3分の中で価値を最大限に提供できるコミュニケーションが何か考え続け、ある電子薬歴を見て「これだ」と思いました。
電子薬歴は薬歴記入を効率化できますが、むしろ3分以内で患者さんと濃いコミュニケーションを取るために有効なツールだと考えました。
電子薬歴があれば患者さんと一緒に画面を見たり情報を共有したりできるので、コミュニケーションが格段にしやすくなるだろうと感じています。
天神橋筋商店街の起点部分の場所にあり、繁華街である梅田に挟まれた本庄エリアで約100医療機関から月に平均700~800枚の処方箋に対応している保険薬局です。電子薬歴を2013年1月に導入し、これまでは紙の薬歴を使用していましたが電子薬歴へと切り替えることに。非常にシンプルな入力操作かつ充実したチェック機能がシステムを選んだ理由です。
地域に根付いた薬局だからこそ医師からの処方された薬だけでなく、市販薬についても日常的に相談されることも多く、OTC医薬品の添付文書も検索できる点は非常に便利に活用できます。相互作用を未然に防げるため、安全管理にも役立つでしょう。また血糖・コレステロールなどの検査値を付けられる機能は、接遇面でも多くの時間を割けられるなどのメリットもあります。雑談内容をメモすることもできるので、患者さんに声をかけて「覚えていてくれたのですか」と喜んでくれたこともあります。
電子薬歴を利用する前は、患者の情報を記載したノートなどを作成して情報を管理していました。しかし電子薬歴を導入したことで、患者の様子を気軽に閲覧でき、不安・疑問など患者が抱えている悩みの情報も記録できるので、他のスタッフと情報共有がしやすくなっています。スタッフ間の引き継ぎやアドバイスを行う際にも便利です。
さらに指静脈認証システムも導入し、患者の個人情報の流出を防げる点も安心できます。専用のリーダーで情報を読み取るだけなので、作業効率も格段にアップしました。
1953年に創業し、現在は広島市佐伯区や廿日市市にて調剤薬局を担っています。健康アドバイスなど薬剤師力を高めることに注力しており、電子薬歴の分析機能によって薬局の取り組みの見える化が実現できました。またフォローアップツールを活用して、服薬期間における患者さんの状態把握もしやすくなり、今までできなかったことが簡単に行えるのは驚きです。電子薬歴の機能を用いて、患者ご自身にフォローのためのツールを選んでもらっています。患者さんとのやりとりで感謝の言葉をいただくことも。また分析機能を使用することで、他店舗とのつながりも生まれやすくなります。データを介してフォロー件数も2倍以上まで増えることができました。
しっかりと見える化ができたことで、根拠を持った業務改善も行えます。データだけでなく、スタッフの想いも見えるようになった気がして、企業全体として導入して良かったと思えるほどです。
タブレット対応の電子薬歴はパソコンと同じように使えて、どこでも入力できる使い勝手の良さがあります。
何よりタブレットに対応したことで薬歴を持ち運びできるようになったのがもっともわかりやすいメリット。
薬局内のどこでも薬歴の参照・入力が可能で、椅子に座った患者さんのそばで説明することもできるようになったのです。在宅業務でも大きな変化がみられました。
従来は端末のスプレッドシートに入力したデータを後から据え置き型のシステムに入れ直す手間がありましたが、訪問先で患者さんや医師、ヘルパーから聞き取った内容をその場で入力できるので、報告書の作成も微修正程度で足りるようになりました。
2022年1月に開設してときから電子薬歴の機能を活用しています。そのおかげで事務専任のスタッフは在籍していません。月間の処方箋枚数は350枚ほどで、在宅訪問先はすべてが個人宅、かつ終末期の患者なども担当しており、月の算定件数は80~100件ほどです。
端末をスマートフォンのテザリングでつなげれば、簡単に「指導文」の機能画面を患者に見せることができ、話した内容をタッチしながら服薬指導ができます。そのため一つ一つを患者や家族に納得させやすくなり、しっかりと説明できているのは薬剤師として嬉しい点です。
また薬歴機能・健康アドバイス・服薬期間中のフォロー機能・分析機能など、数多くの機能が搭載されており、クラウド型ならではのアップデートの早さもメリットだと言えます。
在宅の訪問件数分の紙薬歴の持ち運びや、帰局後の事務作業が非常に苦労しており、紙薬歴の現状に課題を抱えていました。とくに帰局後の事務作業は1日6件回れば、2時間ほど要することも。薬剤師の業務負担軽減を目的にタブレット型の電子薬歴の導入を決意しました。
在宅訪問に必要となるデータをタブレットで持ち運べるため、荷物の軽量化にもつながっています。また薬歴を入れ替えるために店舗に戻る必要もなく、時間を有効活用できるといった効果も。服薬指導を行いながら、薬歴・報告書も書き終えることができるので、事務作業負担も大幅に削減できました。訪問計画書なども隙間時間に作成できるなど、業務の効率化が図れた点は何よりも嬉しいです。
電子薬歴を使うことで若手の薬剤師が服薬指導にあたる機会が増え、一人ひとりの成長がみて取れるようになりました。
業務効率化だけではなく、すべての薬剤師が患者さんに適切なアドバイスをできるようになったのは電子薬歴導入の成果のひとつだと思います。
実際に薬剤師と患者さんのコミュニケーションは、以前に比べてずいぶん濃くなっています。
現場の薬剤師は「処方箋がなくても頼ってもらえる薬剤師」を目標としており、患者さんのさまざまな悩みに答えて安心してもらえるだけの知識を身につけなければなりません。
その点、電子薬歴の服薬指導コンテンツやアドバイスツールは薬剤師自身の勉強になっている部分があります。
電子薬歴を選んだポイントは指導文の質で、私たちが使っている内容や表現に近い文章がテンプレートになっています。語尾や言い回しを修正する手間もないため、現場の薬剤師のストレスもほとんどありませんでした。また標準のテンプレートを独自に変更するのも簡単なので、よく活用しています。指導文自体は「初回指導」「定期的にチェックする内容」など分かりやすく表示されているので、薬歴記載もスムーズです。
どの薬剤師が記入しても、一定の水準はクリアしたものにしたいと思っていました。タイピング入力だと、薬剤師ごとに質がバラバラで頭を抱えることも。しかし導入した電子薬歴は感覚で使えるため、新人が入社してもスグに使えるのもありがたい点です。実際に操作説明を受けることなく、使えました。
青森県弘前市を中心に調剤薬局を展開しており、これまでは全店舗で薬歴は手書きの状態でした。そこで2021年より電子薬歴を導入。導入の決め手は、1画面で完結できる簡易性と指導ナビ機能です。このシステムなら誰でも操作しやすく、導入への抵抗も低いと感じました。導入当初は不安な点も多かったですが、薬歴にかかる時間も短縮でき、薬剤に関する注意喚起もシステム側で行ってくれます。今では電子薬歴じゃないとダメだと思えるほどになっています。
また導入に際して、タッチパネルにした点も成功したポイントです。マウス操作が苦手な薬剤師にとっても、直感的に操作しやすくなりました。収納スペースも必要なく、事務作業の手間が圧倒的に軽減できるなどの効果があります。
上記の導入事例にある通り、電子薬歴を導入することで業務効率化・職場改善、患者さんとの信頼関係の構築につながります。
本サイトでは「クラウド型」「レセコン一体型」「ハイブリッド型」という種類ではなく、それぞれの薬局が何をもって電子薬歴を選ぶべきか、3つの観点からそれぞれの目的別に電子薬歴を紹介していますので、ぜひ自社に合った電子薬歴選びの参考になさってください。
近年、調剤薬局の形態も多様化しており、様々なタイプに分かれています。
ここではそんな薬局を以下の3タイプに分類し、それぞれにおすすめの電子薬歴をご紹介します。
便利な機能例
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