電子薬歴は非常に便利なものではありますが、いくつか課題も挙げられます。そこで、代表的な課題にはどのようなものがあるのかについてまとめました。おさえておきたい課題と、自分でできる対策などについて解説します。
電子薬歴の課題として、以下のようなことが挙げられます。
電子薬歴はパソコンとキーボードを使用して記載していくことになるため、キーボード操作が必要です。業務効率を考えると、手早く薬歴を記入しなければなりません。 もちろん、ミスがあってはいけないので、正確さも求められます。
ですが、パソコン操作に慣れていない方の場合、入力に時間がかかってしまったり、ミスが発生しやすくなったりするのが課題です。操作がわからない、入力に時間がかかるなどの理由から後回しにしてしまうと、薬歴未記載問題に繋がってしまう恐れもあります。十分注意しなければなりません。
薬歴記入のためといっても、端末のモニターを見続けると目が疲れてしまいます。特に注意しなければならないのが、ブルーライトの影響によるものです。 ブルーライトとはとても強いエネルギーを持つ光であり、パソコンやスマートフォンなどの液晶画面から放出されています。
長時間ブルーライトが目に入ってしまった場合、目が疲れるだけではなく、睡眠障害に繋がってしまうこともあります。目の疲れは肩こりなど、その他の不調を引き起こしてしまうケースも多いです。
停電対策が取られていない電子薬歴の場合、災害時など、停電が発生した際に使えなくなってしまう恐れがあります。万が一の停電、災害などに備え、非常用電源の確保などが求められますが、なかなか導入できていないケースが多いようです。
新たに電子薬歴を導入する際には、費用がかかります。 電子薬歴を導入しようと考えているものの、システム導入にかかる費用が問題で諦めている方もいるようです。
電子薬歴は複数のセキュリティリスクがあります。災害時にはデータを失う可能性もありますし、悪意ある第三者によるデータの改竄、ウイルスによる情報漏洩も考えなければなりません。セキュリティリスクを常に考えた運用が求められます。
電子薬歴は強固なセキュリティが必要です。データも非常に多いため、情報漏洩が起きた場合、大変なトラブルになります。そのため、パスワードの入力や指紋認証を必要とするシステムも多いです。
セキュリティ対策のため、何度もパスワードの入力や認証を行うと入力業務に負担がかかる場合があります。紙の薬歴に比べてこうした点が課題といえるでしょう。
電子薬歴はレセコンを使って記入します。電子薬歴を使おうとしたタイミングで、他スタッフが使用中の場合、入力できません。電子薬歴、レセコンを使用した処方箋の入力やレセプト、発注業務などで使用中でもできないのです。
複数の端末を用意するという対策もあります。しかしレセコンを複数導入するのも費用もスペースも必要です。複数端末を用意できないのはデメリットでしょう。音声入力システムを備えている場合さらに費用がかかる場合も。
タブレット端末で電子薬歴の記入ができるシステムもあるので、高額なPCを購入する場合に比べ負担を抑えることもできます。タブレットなら各薬剤師がそれぞれ利用できますし、スペースも不要です。その点は、電子薬歴を導入するかの検討材料になります。
自分でできる対策としては、タイピングが速くなるコツを知る、眼精疲労を抑えるといった方法が挙げられます。タイピングは慣れともいえますが、正しい手の置き方(ホームポジション)を確認し、キーボードを見ることなく打てるように練習しましょう。
眼精疲労を抑えるためには目薬を活用したり、目の周りの血行を良くするため蒸しタオルと水に濡らしたタオルを使って温パック・冷パックをしたりするのがおすすめです。
電子薬歴は各社セキュリティリスクの対策を重視しています。情報漏洩があれば、電子薬歴を出しているメーカーの信頼性低下にもつながりかねないからです。セキュリティリスクの対策の一環として、VPN回線の利用があります。
VPNはソフトウェアの技術で特定の人だけが利用でき、暗号化により不正なアクセスを防ぐ回線です。接続したい拠点に専用ルーターを設けて相互に通信を行い、安全性を確保します。
他にもIDやパスワードによる「認証」で受信者と送信者は正しいか判断できる場合もあります。
認証入力は忙しい業務の中で行うのは手間がかかり面倒かもしれません。ただ、情報漏洩やデータの改ざん、ウイルス感染などの危険性は大きいです。おろそかにしたことで、薬局の業務が止まるだけでは終わらず、社会的な信頼性が落ちることになります。
パスワード認証のスピードを少しでも速くするなら、本来、SSOが有効です。
SSOは1度だけ認証入力をすれば、業務アプリケーションからクラウドサービスまで複数のシステムが利用できる仕組みです。「リバースプロキシ方式」と「サムル認証方式」の2つがあります。
電子薬歴で対応できるSSOは2023年11月現在では見つかりませんでした。しかし、将来的に対応できるようになれば入力の負担も軽くなります。
端末数が少ないなら、不足している分を増やせば問題は解決します。ただ、導入コストがかかるため便利だとわかっていてもなかなか踏み切れない場合もあるでしょう。その場合、 IT補助金の申請を検討してもいいかもしれません。IT補助金は、ITツールの導入を促進するための補助金です。補助金の申請が認可されれば、機器の導入費用に応じてある程度の費用負担を補えるため、電子薬歴に関する端末が導入しやすくなります。
ただし、電子薬歴でIT補助金の利用を検討する場合、IT補助金対象になっている電子薬歴しか利用できない点に注意が必要です。そのため検討していても、対象外ならIT補助金が利用できないケースもあるため事前確認が必要です。
電子薬歴を導入する際には、IT導入補助金が活用できます。IT導入補助金とは、経済産業省が行っている補助金であり、ITツールを導入する際の経費を一部補助してくれるものです。
日本国内で実施される事業であること、IT導入支援事業者によって登録されているITツールを導入することといった条件を満たしている必要があります。補助金額は下限30万円、上限450万円です。ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
近年、調剤薬局の形態も多様化しており、様々なタイプに分かれています。
ここではそんな薬局を以下の3タイプに分類し、それぞれにおすすめの電子薬歴をご紹介します。
引用元:シグマソリューション公式HP
https://www.sigma-sol.co.jp/products/elixirs/index.html
便利な機能例
引用元:メディクス公式HP
https://medixs.jp/
便利な機能例
引用元:Solamichi公式HP
https://site.solamichi.com/
便利な機能例