電子薬歴は登場した当初と比べると普及が進んできました。これまでどういった歴史があるのでしょうか。ここでは電子薬歴の歴史と、調剤薬局や薬剤師の今と昔について紹介します。
薬歴は、薬剤師として活躍する佐谷圭一さんによって考案されました。佐谷圭一さんは、1998年~2002年にわたって第22代日本薬剤師会会長を務めた方でもあります。
薬歴の考案と、実用化、普及を推進してきた方です。考案された薬歴システムは薬剤師会などを通じて少しずつ広められ、その後、薬剤服用歴管理指導料といったものが導入されたことにより、広く普及してきました。
電子薬歴は、これまで紙媒体で行っていた薬歴の管理をさらに効率的に行うために開発されました。政府から薬剤服用歴の電子媒体による保存に関するガイドラインが出されたのは、2002年11月のことです。
2015年には「患者のための薬局ビジョン」が公表され、かかりつけ薬剤師・薬局が求められるようになりました。 それまで薬剤師は薬の調剤中心の業務を行っていましたが、かかりつけ薬剤師として「対物」ではなく「対人業務」に移行することになったのですが、同年に発覚したのが、薬歴未記載問題です。
大量の薬歴未記載の問題があったことが報道され、電子薬歴についても漏れなく記載できることを重視したシステムの強化・開発が行われることになりました。近年主流となっている電子薬歴は、漏れのない薬歴記載を実現するため、早く記載できることが重視されています。
2020年には服用期間中の継続フォローが義務化されたこともあり、今後の電子薬歴には一人ひとりの患者さんに寄り添った服薬指導ができるような機能が求められているといえるでしょう。
調剤薬局や薬剤師のあり方は、今と昔ではかなり違っています。
調剤薬局が登場したのは、1970年代頃です。国の政策として医薬分業が進められた影響で登場した背景があります。 その後、院外処方箋が増えたことから調剤薬局の数も増えました。
ですが、近年は少子高齢化による医療費増大を受け、病院での長期入院ではなく在宅療養が増えています。 調剤薬局も直接患者さんの自宅へ配薬することが増えました。
さらに国が医療費削減を目的に病気の予防や、軽い症状については市販薬での対応を求めていることもあり、調剤薬局は健康をサポートする場所として形を変えてきています。
薬剤師は調剤業務を行い、薬品を適切に使用することにより、安全性を守る役割を担う存在として生まれました。もともと、調剤や用法指示を主な業務としていた薬剤師ではありますが、その後処方内容の確認や医薬連携も薬剤師の仕事になっています。
さらに、服薬指導や薬歴管理、患者インタビューも業務に加わるなど、変化してきました。リスクマネジメントや薬薬連携、カウンセリング、コンサルテーションなども担当業務となっており、今後も薬剤師が活躍する場面は広がっていきそうです。
平成27年に厚生労働省が発表した「患者のための薬局ビジョン」では、対物業務から対人業務へシフトする旨が示されています。
そのため、対物業務をいかに効率化するかが重要なポイント。薬中心の業務の一部をデジタル化することで、対人業務に集中できるようになります。
薬剤師をはじめとする医療関係者が、患者さんの服用履歴や既往歴、アレルギーなどの情報を把握することは大切です。おくすり手帳には患者さんの服用履歴が記載されており、これまでにどんな薬をどのくらいの期間服用していたかがわかります。
患者さんが複数の医療機関や薬局にかかっても、おくすり手帳があれば相互作用や重複投与を避けることができます。また、患者さん自身が服用する薬を正しく把握し、服用時の体調変化等を記録することで薬に対する意識も高まります。
現在、おくすり手帳は広く普及しており、保有している人は多くいます。しかし、保有していても薬局へ持参する人は少ないほか、複数のおくすり手帳を持つ人も。これではおくすり手帳の本来の役割が損なわれてしまいます。
そのため近年では、おくすり手帳のデジタル化が進んでいます。おくすり手帳を紙ベースからデジタル化することで、患者さんの持参忘れや複数所有の防止につながるでしょう。
そもそも資格確認とは、患者さんが加入している保険の種類を確認することを意味しています。
現在薬局では、患者さんから保険証を預かって資格確認を行っています。資格確認には保険証に記載されている記号・番号や患者さんの生年月日、名前、住所などの情報が必要。資格確認をオンラインで行うことができれば、作業の効率化による待ち時間短縮につながります。
オンライン資格確認には、「マイナンバーカードの電子証明書の読取」と「資格確認システムでの確認」の2種類があります。マイナンバーカードを読み取って本人確認を行う方法であれば、入力の手間がかかりません。また、資格確認システムでは保険証を預かるものの、記号・番号を入力するだけで済むため入力の手間を削減できます。
オンライン資格確認なら、確認作業に費やす時間を短縮できます。また、患者さんの資格情報をその場で得ることができるため、「本当にその保険資格があるのか」を確認可能。
さらにオンライン資格確認では、過去5年分の特定検診と過去3年分の薬剤情報を確認できます。正確な情報を短時間で得られることで、より安全な医療提供を目指すことができるでしょう。
オンライン資格確認には「導入コストがかかる」という課題があります。顔認証式のカードリーダー等が必要になるため、購入費用がかかってしまうのです。
また、「オンライン資格確認を運用するための人材教育」も必要です。運用に慣れるまでの人材教育費がかかるほか、患者さんからの問い合わせ対応に時間がかかることも予想されるでしょう。
近年、調剤薬局の形態も多様化しており、様々なタイプに分かれています。
ここではそんな薬局を以下の3タイプに分類し、それぞれにおすすめの電子薬歴をご紹介します。
引用元:シグマソリューション公式HP
https://www.sigma-sol.co.jp/products/elixirs/index.html
便利な機能例
引用元:メディクス公式HP
https://medixs.jp/
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引用元:Solamichi公式HP
https://site.solamichi.com/
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