調剤ミスはどうしても起きてしまうものです。しかし、他のミスと異なり、調剤ミスは患者に直接的なリスクを負わせることにもつながりかねません。だからこそミスが許されないのですが、調剤ミスを出さないための対策のポイントをご紹介します。
疑義照会とは処方箋の内容を、処方箋を発行した医師に問い合わせるものです。医師の忙しさは薬剤師も理解していることでしょう。そのため、疑義照会は迷惑・負担なのではと控える薬剤師が珍しくありませんが、医師に忖度して調剤ミスを起こしてしまっては意味がありません。あくまでも患者のことを考え、積極的に疑義照会を行うことで些細なミスを防ぐことに繋がります。
調剤ミスが起きた際、報告書を作成して日本薬剤師会に報告をしましょう。
報告することで、薬剤師会には「ミスの事例」が一つ生まれることとなり、周知徹底することで再発予防が期待できます。
ミスを報告することに抵抗がある薬剤師がいるのもよく分かる話ではありますが、報告が未来のミスを未然に防ぐことになるのです。
一度ではなく二度、あるいはそれ以上確認するダブルチェックも有効です。
一度だけでは何となく流してしまうことも、二度確認することで調剤ミスに気付ける可能性があります。
ただし、ダブルチェックが形骸化してしまうとミスに気付くことが難しくなってしまいますので二度目は違う角度からチェックを行うなど工夫が必要です。
医学も進歩していますので薬剤師資格取得時と、その後とでは情報が異なっているケースが珍しくありません。「かつての常識」に固執してしまったがために調剤ミスが起きるケースもありますので、知識・情報は常にアップデートを心掛け、新しい情報を元にした調剤を徹底するよう心掛けましょう。
そもそも調剤ミスとは何を意味するのかといえば、調剤事故、調剤過誤、インシデント事例(ヒヤリ・ハット事例)の3種類を理解することで見えてくるものです。
それぞれについて、詳しく見てみるとしましょう。
調剤にて起きた事故で、患者に健康被害を及ぼしてしまったものを指します。
医療事故における一塁型とされており、薬剤師の過失有無が問われません。つまり、薬剤師がミスをしていないとしても、患者に健康被害がみられた場合には調剤事故に分類されてしまいます。
調剤事故の中で、薬剤師の過失で起きてしまったものが調剤過誤となります。調剤の間違いや説明不足・指導ミス等、薬剤師の責任領域内でのミスによって患者に健康被害が発生してしまった場合を指すもので、この場合は「薬剤師のミス」による調剤過誤に分類されます。
薬剤師の責務として定められていることをこなさない、単純なミスなど、その範囲は広域に及びます。
患者に健康被害を与えてはいないものの、ヒヤリとしたり、あるいはハっとしたような出来事です。薬剤交付前後、あるいは服用前後を問わずにインシデント事例、ヒヤリ・ハット事例に分類されます。
実際に健康被害を与えていないものの、インシデント事例が多いことは薬剤師として注意すべき事象となることから、報告した方が業界全体のミスの啓発に繋がります。
調剤ミスが起きてしまう原因は大きくいくつかの項目に分類できます。
調剤ミスを減らしたいと考えているのであれば、なぜ調剤ミスが起きてしまうのか、原因を知ることも大切です。
薬剤師に身体的・心理的な問題が起きていると調剤ミスが起きやすいです。
疲労の蓄積、体調不良による集中力の欠如等やストレス、ミスを起こしてはならないというプレッシャー等が考えられます。薬剤師に限らず、万全の状態と身体的・心理的に問題がある時とでは仕事のクオリティが異なります。身体的・心理的に何らかの問題があれば、ミスが増えてしまうのは当然です。
業務に慣れてしまうと、油断からミスを起こしてしまうケースもあります。
「確認が大切」と言われても、毎回当たり前のように確認して問題がなければ「今回もどうせ大丈夫」といった油断を生み、思わぬミスを起こしてしまうことがあるなど、慣れからの怠慢・油断が原因のケースです。
分からないことをそのままこなしてしまうことでミスになってしまうケースもあります。
薬剤師ではあっても、薬剤師試験に合格した後に変わったこと、ブランク中に変わってしまったことなどは分からないことがあっても仕方ありませんが、分からないまま自己判断で進めた結果、ミスをしてしまうこともあります。
医薬の世界でも様々な機器が登場しています。いずれも基本的には簡単な操作ではありますが、操作になれておらず、操作ミスをしてしまったり、あるいは薬剤の梱包が似ているので混同してしまったりといった形でのミスも確認されています。
薬剤師もまた、職場の人間として先輩たちからの適切な教育を受けることが重要です。
しかし教育態勢が整えられていないと、分からないまま後回しにしてしまったり、いざという時にどうすればよいのか分からないものです。結果、それらがミスに繋がってしまうケースもあります。
調剤ミスが起きてしまう原因をご紹介しました。これらを受け、調剤ミスを起こしにくくするポイントをご紹介しましょう。
レセコンと連動することができ、処方歴・副作用歴・指導歴などを電子データとして記録する「電子薬歴」を導入することで、調剤ミスのリスクが抑えられます。
この電子薬歴にはさまざまな機能が搭載されており、例えば前回までと処方内容が異なっているようなら自動的に通知されたり、医薬品の規格・適用対象に変更があれば同様にやはり通知がなされます。
まずは業務フロー・マニュアルを見直しましょう。無駄な作業が多ければ、それだけ薬剤師を含めたスタッフに無駄な負担を強いていることになります。
また、いざという時にどうするのか、マニュアルの有無で対応が大きく変わりるなど、とても大切なポイントです。
もしもミスを起こしてしまったら、すぐに原因と対策を考えましょう。
また、ミスが起きてしまったとしても必要以上に咎めない事が大切です。
咎めてしまうと薬剤自身にプレッシャーを与えたり、「咎められるなら」とミスを報告しなくなってしまうリスクも懸念されます。
わからないことはすぐに聞くよう心掛けましょう。
同時に、わからないことを聞かれた場合にしっかりと答えられる環境を用意することも大切です。わからないからと聞いたものの、面倒がられたりしっかりと返事をしなければ、聞いた側も「二度と聞かない」になってしまい、結局は分からないことがそのままになってしまいます。
この点は個人の問題に思うかもしれませんが、職場全体の問題です。
調剤ミスが起きる原因や対策のポイントをご紹介しました。
調剤ミスは、場合によっては大きなトラブルに発展しかねません。
薬剤師個人だけではなく、職場全体としてミスの起きない環境を作る意識を高めましょう。調剤ミスを起こさないための対策やフローを整えるのも大事ですが、電子薬歴を取り入れて効率化したうえで、ミス撲滅に動くのがおすすめです。こちらのサイトでは電子薬歴を導入できる業者を紹介しているので、よかったらチェックしてみてください。
近年、調剤薬局の形態も多様化しており、様々なタイプに分かれています。
ここではそんな薬局を以下の3タイプに分類し、それぞれにおすすめの電子薬歴をご紹介します。
引用元:シグマソリューション公式HP
https://www.sigma-sol.co.jp/products/elixirs/index.html
便利な機能例
引用元:メディクス公式HP
https://medixs.jp/
便利な機能例
引用元:Solamichi公式HP
https://site.solamichi.com/
便利な機能例