経済産業省が主導する、生産性向上を目的としたIT導入支援事業「IT導入補助金」。この事業の対象となっている電子薬歴もありますので、制度を使わない手はありません。
また、合わせて「中小企業投資促進税制」についても調べました。IT導入補助金と合わせて電子薬歴導入時の参考になさってください。
IT導入補助金は中小企業や小規模事業者を対象としており、自社の課題やニーズに合ったITツールで業務効率化と売り上げアップをサポートするために導入経費の一部を補助する仕組みです。
自社のおかれた環境から強みと弱みを認識、分析して、明らかになった経営課題や需要に相応しいITツールを導入することで、経営力の向上と強化を図ることが目的とされています。
電子薬歴もメーカーによってはこのIT導入補助金の対象になっていますので、費用負担を少なく電子薬歴を導入できるチャンスです。今までIT投資を一切行なったことがないという薬局でも問題なく活用できます。小さな薬局でも活用できるのか心配…というところもあるかもしれませんが、制度の対象企業であれば規模に関わらず活用できます。
また、昨今は新型コロナウイルス感染症の拡大によって、感染リスク軽減の観点からもオンライン服薬指導や薬剤師のテレワークなどの対応が求められ、薬局での業務内容も変化の兆しがあります。
こうしたことからも、処方データの確認や質の高い薬歴をクラウドで簡単に実施できる電子薬歴がIT導入補助金の対象になっていると考えられます。
参照元:経済産業省 中小企業庁 公式HP(https://mirasapo-plus.go.jp/hint/28998/)
中小企業投資促進税制とは、法人税にあたり青色申告書を提出する中小企業が対象となる制度です。
1998年6月1日から2023年3月31日までの指定期間内に新製品を製作し、国内にある製造業・建設業などの指定事業で利用した場合に、利用した日を含む事業年度において特別償却または税額控除を認めます。
参照元:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5433.htm)
中小企業投資促進税制の対象となる設備は、以下の通りです。
上記のうち、電子薬歴は「一定のソフトウェア」に含まれます。
一のソフトウェアの取得価額が70万円以上の一定のソフトウェアが対象となりますが、複写して販売するための原本や研究開発用のものは本制度の対象外となるので注意が必要です。
参照元:中小企業庁 公式HP(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/tyuusyoukigyoutousisokusinzeisei.html)
2025年12月10日時点で申請可能な事業スケジュールは、8次締切分(最終回)のみでした。通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型または電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠のいずれも同様のスケジュールになっています。
参照元:IT導入補助金ポータルサイト|2025年12月10日時点で申請可能な事業スケジュールのみ抜粋
(https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/)
IT導入補助金の中でも、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフトなど、インボイス制度に対応するITツールの導入経費を補助する枠組みです。
インボイス枠の補助対象は、インボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」のいずれかの機能を備えたITツールで、パソコンやタブレット(上限10万円)、レジ・券売機(上限20万円)などのハードウェアも対象に含まれます。補助額および補助率は導入するツールの金額帯に応じて変動します。
補助額が50万円以下の場合は補助率3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、補助額が50万円を超える場合は補助率2/3以内となり、補助金額は5万円~最大350万円まで申請可能です。
医療機関の場合、会計や請求に関わるレセプト関連システムが対象となる場合がありますが、インボイス対応に直接関連しない電子薬歴システムは対象外となるため注意が必要です。
IT導入補助金の申請は、基本的に下記の流れです。
最初は公募要領を確認し、IT導入補助金を理解します。次にIT支援事業者の選択です。公式サイトに登録されていないITツールやIT事業者は、IT導入補助金の対象になりません。IT導入補助金の公式ホームページのIT支援事業者の一覧をチェックし、リストから選びます。
申請はパソコンによるオンライン申請です。gBizIDプライムのアカウントとパスワードを、経済産業省や中小企業庁推奨の認証システムで作成します。無料です。申請のための自社専用ページを開設。IT支援事業者が決定すると、IT支援事業者から開設の案内が届きます。案内に従い開設してください。
マイページ開設後、gBizIDプライムでログインし申請書を作成します。必要書類の添付も必要です。入力完了後、IT支援事業者が申請者のマイページより、IT導入支援担当者情報や、計画数値、導入するITツールの情報の入力をします。すべての入力終了後、事務局に申請し、申請完了です。
申請の流れでも記載しましたが、交付申請には、gBizIDプライムのアカウントが必要です。法人向け行政サービス共通認証アカウントで、作成には、法人の場合、印鑑証明書と代表者印、個人事業者なら印鑑登録証明書と個人の実印が求められます。ID発行までは約2週間です。
SECURITY ACTIONの宣言も求められます。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が行っており、★一つ星か★★二つ星が要件です。
また、IT導入補助金は無条件ではなく、ITツールを導入して行う予定の事業内容の診査があります。当然、審査が通らない場合もあるため注意が必要です。ITツールを提供するIT導入支援事業者(ITベンダー)と共同で行います。企業や医療機関が自身では申請できません。
IT導入支援事業者は、申請者と実施する共同事業者です。ITツールの提案や導入、経営診断ツールを利用した事業計画の策定支援、各種申請など手続きに関するサポートをしてくれます。ただし、IT導入支援事業者が事務局に登録していること、認定を受けたツールだけが補助対象です。
電子薬歴に関しては2023年現在、登録認定は限られています。電子薬歴を選ぶとき注意したいのは、実際に利用する薬剤師やクリニックにあっているシステムかどうかです。IT導入補助金の申請では、時間、IT導入支援業者への費用も必要なため、熟慮した上で電子薬歴の選定をしましょう。
現段階では、電子薬歴には基本的にA類型が適用されます。
IT導入補助金の通常枠には、A類型とB類型の2種類があります。どちらもソフトウェア購入費やクラウド利用費、導入関連費などを補助対象としている点は同じですが、補助額に違いがあります。A類型の補助額は5万~150万円、B類型の補助額は150万~450万円となっています。
また、機能要件も異なります。A類型では1プロセス以上となっているのに対し、B類型では4プロセス以上を満たす必要があります。A類型よりもB類型の方がより厳しい条件が設けられています。
なお、プロセスは顧客対応や決済、在庫、会計などを6つに分けて設定されています。そして、B類型を適用させるためには、4つ以上のプロセスを満たす製品の導入が必要。しかし電子薬歴においては、4つ以上のプロセスを満たす製品は現在確認できていません。そのため、2023年12月現在では、電子薬歴の導入はA類型が適用されると考えられます。
たとえば「発行済の株式を総数または出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している」「発行済の株式を総数または出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している」という中小企業や小規模事業者は、IT導入補助金の対象とはなりません。
また、宗教法人や法人格のない任意団体なども申請対象外となっています。
補助対象外となる経費としては、「リース・レンタル契約のITツール」「中古品」「交付決定前に購入したITツール」などが挙げられます。また、「補助事業者の顧客の実質負担する費用がITツール代金に含まれるもの」と事務局に判断された場合も補助対象外となります。
申請後は、事務局が申請内容を審査します。審査では「継続的な生産性向上と事業の成長に取り組んでいるか」「労働生産性の向上率」「生産性の向上及び働き方改革を視野に入れ、国の推進する関連事業に取り組んでいるか」といった内容の事項があり、申請内容によって生産性向上の効果が認められるかが重要なポイント。
ただITツールを買い替える・単に業務ツールを追加するといった申請内容では、不採択となる可能性が高いでしょう。
申請内容に不備があると、不採択になる可能性があります。
基本的には、採択・不採択を判断する前に事務局から不備訂正を求められます。不備訂正の連絡を受けたら、すぐに再提出を行いましょう。申請には多くの記載や書類が必要ですから、不備がないよう十分に注意することが大切です。
参照元:【PDF】IT導入補助金2023(後期事務局)|通常枠 公募要領
(https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/r4_koubo_tsujyo.pdf)
申請を行う際には、まず交付申請の手引きに目を通しましょう。申請にはたくさんの情報を入力する必要があるほか、複数の書類が必要です。「入力ミスをした」「添付書類が不足していた」という事態を防ぐために、申請の流れをしっかりと理解しておきましょう。
単純な情報を入力するだけのはずが、指示を見落として入力ミスをしてしまうことがあります。たとえば「年間の平均労働時間」を月単位で入力してしまったり、発行日から3ヵ月以内の履歴事項全部証明書の写しを添付しなければならないのに、期限が切れていたり。きちんと確認しながら申請しているつもりでも、ケアレスミスが生じる可能性があります。
そのため、ひとつひとつ丁寧に入力し、申請前に確認することが大切です。
また、過去の実績を過大記載する・将来の予測を楽観的にするなども避けましょう。申請する内容は事実に基づいたもののみとし、虚偽がないよう注意しましょう。
自社の強みや弱みは何か、課題は何か、どんな目的でITツールを導入し、導入してどう活用するのか、導入によってどんな効果を期待できるのか。申請内容が採択されるためには、「ITツールを導入することで生産性向上が見込めるのか」が重要です。申請を行う前に経営層やIT事業者等としっかりと話し合い、ITツール導入の有効性をアピールできるようにしましょう。
申請では、選択式で回答する設問もあれば、自身で記述する設問があります。申請内容全体に一貫性がない回答にしてしまうと、採択率が下がります。そのため、安易に回答せず、ひとつひとつの設問の内容をしっかりと考えて回答するようにしましょう。
参照元:【PDF】IT導入補助金2023(後期事務局)|通常枠 公募要領
(https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/r4_koubo_tsujyo.pdf)
制度の適用を受けるためには、償却限度額の明細を確定申告書に添付する必要があります。
また、税額控除の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載し、その金額の明細を添付する必要があります。
この場合、特別償却と税額控除の重複適用は認められないので、申告の際には注意が必要です。
ここではIT導入補助金、中小企業投資促進税制の概要と対象設備、特別償却を受けるための手続きについてまとめました。
「電子薬歴を導入したいけど資金がな…」と踏みとどまっていた方にとっては、この制度を利用して電子薬歴を導入することを検討する機会となったのではないでしょうか?
本サイトでは、「クラウド型」「レセコン一体型」「ハイブリッド型」という種類ではなく、それぞれの薬局が何をもって電子薬歴を選ぶべきか、3つの観点からそれぞれの目的別に電子薬歴を紹介していますので、ぜひ自社に合った電子薬歴選びの参考になさってください。
操作性が格段に向上しただけでなく、AIの導入も進む現在の電子薬歴。多機能だけに、どのシステムが自局の目指す薬局運営に適しているのかの判断が難しくなっています。
当メディアでは、次世代の電子薬歴を徹底調査。 自局の目指す経営に適した電子薬歴システムを、わかりやすく解説します。
当メディアでは、AIによる自動の薬歴反映などの新しい機能を搭載した次世代の電子薬歴システムを調査。
これからの薬局が目指すべき経営の方向性、「加算指導の強化」「服薬指導の強化」「在宅指導の強化」を支援できる3つの電子薬歴システムについて徹底解説します。

引用元:MAPs for PHARMACY DX公式HP https://service.emsystems.co.jp/maps_series/for_pharmacy_dx/

引用元:CARADA 電子薬歴 ソラミチHP https://site.solamichi.com/

引用元:Musubi公式HP https://musubi.kakehashi.life/