近年ロボット調剤への関心が高まっています。調剤業務をロボットによって自動化する仕組みのことで、調剤薬局の業務を効率化し、薬剤師の負担軽減に寄与すると考えられています。このページでは、ロボット調剤のメリットやデメリットについて解説します。
ロボット調剤は、文字どおりロボットを使用した調剤業務をいいます。散剤分包機を始め、機械による調剤業務の自動化は古くから行われています。一方、コンピューターが一連の調剤業務を薬剤師に変わって行うのがロボット調剤です。
ロボット調剤では、処方データを入力するだけで薬剤の選定や秤量、分割・分包まで、一連の作業をロボットが行います。これによるヒューマンエラーを予防し、薬剤師の業務負担を軽減できます。
なお、ロボット調剤という言葉が広まり始めたのは近年です。これまでの自動調剤機器がロボットと呼ばれるようになり、現在は技術の発展に伴って一連の調剤業務が自動化可能になっています。
ロボット調剤のメリットは以下の4つです。
薬剤師は、日々の時間の多くを調剤業務に充てています。ロボット調剤の中には、計数調剤を自動化できる機器もあるため、導入することで薬剤師の調剤作業の負担が軽減され、浮いた時間を他の業務に充てられるようになります。患者さん・医師とのコミュニケーション増加にも寄与するでしょう。
また、一連の調剤業務をロボットが自動で行うため、ヒューマンエラーの予防も可能になります。特にミスが起こりやすい薬剤の選定や秤量に関しても、ロボット調剤によって自動化できます。完全に防ぐことは難しいですが、ヒューマンエラーを減らせば信頼性の向上に繋がります。
調剤業務を効率化できる点もメリットです。一連の業務時間を短縮できるのはもちろん、調剤の管理も容易になります。煩雑な調剤業務が問題になっている場合、ロボット調剤で自動化の仕組みを整えてみるとよいでしょう。
一方、ロボット調剤は下記のデメリットがあります。
従来の分包機などは数十万円で導入できますが、ロボット調剤用の機器導入には高額な費用がかかります。費用対効果がよいとは限らないため、導入には慎重な見極めが必要です。また、機器の故障を防ぐためには、定期的なメンテナンスが求められます。導入の際は、ランニングコストも意識したほうがよいでしょう。
ロボット調剤が普及すると、薬局・薬剤師の収入減少に繋がる懸念もあります。業務効率化が調剤料が引き下げに繋がる可能性は否定できないため、今後の動向には注意が必要です。
ロボット調剤を導入することで、薬剤師は対人業務に集中できる環境が整います。薬剤師の評価は、対人業務に重点が置かれており、対物業務はあまり重視されなくなっています。また、調剤薬局や薬剤師に地域医療への支援が求められており、これまで以上に対人業務の重要性が増しています。
ロボット調剤は、調剤業務を自動化できるなど、薬剤師の業務効率化・省力化に寄与します。薬剤師を対人業務へ移行させるキッカケづくりになるでしょう。
調剤薬局においては、ロボット化することで薬剤業務の評価の低下を招き、収入が減少するとの懸念がありました。しかし、実際はそのような事態は起きておらず、収入減少の心配はなさそうです。
調剤ロボットは、大手の調剤薬局チェーンを中心に導入が進められています。導入した薬局での評価はよく、今後も普及が進んでいくと考えられます。
YUYAMAの自動薬剤ピッキング装置は、幅3,580mm、奥行1,800mm、高さ2,285mmという大型の構造を持つ機械です。操作が簡単である点が長所であり、経験の浅いスタッフでも無理なく操作できるため、人材の多様化にも対応できます。そのほか、1種類の薬剤をおよそ13〜30秒ごとの間隔でピッキングできるというスピード性や、ピッキング毎にエビデンスもきちんと残せる点も特徴です。
トモズ松戸新田店の例では、医院からの処方箋に記載されたバーコードを読み取るだけで、その内容がモニターに即座に表示され、調剤作業が自動的に開始されます。この一連の流れは、人手を介さずスムーズに行われ、薬剤師の作業を大きく軽減しています。
この店舗で導入されているロボットは、オレンジ色のボックスに1種類ずつ粉末薬を収納し、最大6種類までの混合が可能です。必要な量を自動で計量し、他の粉末と混ぜ合わせ、1回分ごとの服用量に分ける工程まで一貫して行います。従来、粉薬の調剤は時間がかかる上にミスが許されないため、薬剤師にとっては精神的な負担も大きい作業でした。そうした繊細で反復的な業務を機械に任せることで、速さと正確さを両立させ、薬剤師の負担を軽減させているのです。
さらに、一包化に対応する機械の導入も注目されています。これは、朝・昼・晩といった服薬タイミングごとに複数の錠剤を一つのパックにまとめるもので、特に高齢者や認知症患者にとって非常に有効です。トモズでは、約136種類もの錠剤・カプセルを常備し、多い時には2か月分にあたる180包を一度に一包化することもあると言います。従来、この作業は手作業で行われており、錠剤を1つずつ取り出す際に指を切るといったリスクもありました。機械がその細かく危険な作業を担うことで、スタッフの安全性と作業効率も向上できるでしょう。
近年、蓄積された膨大な調剤データや、疑義照会・服薬指導の記録をもとに学習したAIを活用するプロジェクトが進行しており、薬局業務のあり方が大きく変わろうとしています。
特に服薬指導の分野では、これまで薬剤師個々のキャリアや経験に大きく依存していた指導内容に、AIが新たな支援の形を提示しています。
ベテラン薬剤師であれば、薬の特性や患者の状態に応じて的確なアドバイスを行える一方、経験の浅い薬剤師は教科書的な説明にとどまりがちです。しかし、AIシステムを使えば、こうした知見をリアルタイムで提供し、キャリアに関係なく適切な指導が可能になります。
このAIシステムは、薬剤師の経験年数やスキルに応じて、指導上の注意点や伝えるべきポイントを即座に提示してくれます。患者への説明の質が向上し、満足度の高い服薬指導が行いやすくなるとともに、薬剤師側の業務効率も改善されるでしょう。
また、ベテラン薬剤師でも見落とす可能性のある説明項目をAIが補完してくれるため、ヒューマンエラーの防止にもつながります。
しかし、AIによる自動化が進んだとしても、薬剤師の役割が失われるわけではありません。むしろ、機械では対応しきれない「人間らしい対応力」がこれからの時代には一層求められるのです。患者が不安に感じていることへの寄り添いや、状況に応じた柔軟な対応といった人間にしかできない仕事を極めることが、AI時代を生き抜く薬剤師にとっての重要な課題といえるでしょう。
近年、調剤薬局の形態も多様化しており、様々なタイプに分かれています。
ここではそんな薬局を以下の3タイプに分類し、それぞれにおすすめの電子薬歴をご紹介します。
引用元:シグマソリューション公式HP
https://www.sigma-sol.co.jp/products/elixirs/index.html
便利な機能例
引用元:メディクス公式HP
https://medixs.jp/
便利な機能例
引用元:Solamichi公式HP
https://site.solamichi.com/
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