新人薬剤師の服薬指導スキルアップは、薬局にとっても重要な課題です。
ここでは覚えるべきこと、説明すべきポイントについてみていきましょう。
まずは基本中の基本、薬の名称を覚えなければお話になりません。医薬品には一般名(成分名)と商品名(ブランド名)の2つの名前があります。
近年はジェネリック医薬品が増えていますので、そこもしっかり覚える必要があります。
当然ですが、薬の名称だけではなく効能、効果もしっかり頭に入れておかなければなりません。
こちらも同様に、薬の用法、用量もきちんと覚える必要があります。
患者さんだけではなく、医療従事者も薬を効能、効果で捉えがちですが、薬剤師は副作用も同時に考えなければなりません。
もし薬を飲み忘れてしまったときの対処法も頭に入れておきましょう。
もちろん、飲み忘れないための工夫も大切です。
もし副作用が起きてしまったら、どう対応すべきか。
これをしっかり説明しておかなければなりません。
治療が終わって薬が余ってしまったらどうすべきかも、患者さんにきちんと伝えましょう。
不適切な保管方法で取っておく患者さんは意外と多いものです。
複数の薬局で薬をもらっている患者さんは多いので、飲み合わせや相互作用についてもしっかり説明する必要があります。もちろん、食べ物との関係も重要です。
薬の説明を一方的にしてしまうのは新人薬剤師にありがちです。薬の情報を正しく伝えたいと思うあまり、コミュニケーションが一方的になってしまっては問題です。
大切なのは対話。患者さんの話をしっかり聞いて、それに答えるというスタンスが服薬指導の基本と心得ましょう。
相手の立場に立って考えるというのは対人業務の基本です。
身体が不自由な患者さんや、目や耳が良くない患者さんに対してどう対応すべきか、患者さんの立場に立って考えてみましょう。
もし手が空いていれば待合室にも目を向けて、積極的な声がけなどを行ないましょう。
このような「患者さんに寄り添った姿勢」が服薬指導につながります。
薬に不安を抱えている患者さんに簡潔すぎる服薬指導をすると余計に不安を与えてしまうかもしれません。
その一方で、急いでいる患者さんや長く待たされた患者さんに長々と服薬指導をするとイライラさせてしまうでしょう。
伝えるべきことを割愛することはできないにしても、それぞれの患者さんに対して臨機応変に服薬指導の長さを変えることが大切です。
伝えたい情報をたくさん詰め込んでしまうのも、新人薬剤師にありがちな服薬指導です。
ですが、特に高齢の患者さんにとっては一度ですべて理解するのは難しいもの。せっかくいろいろ教えてくれたけどよくわからなかった、そう思われてはいけません。
まず、一度ですべて説明する必要はないと考えましょう。重要なことを中心に伝え、次回の服薬指導でおさらいしながら新しい情報を加えるなどの工夫をすれば、患者さんも理解しやすくなるはずです。
服薬指導は口頭説明がすべてではありません。製薬メーカーが作成している指導箋や、自作の説明書などを活用して臨機応変に対応すべきです。
ほかにも薬袋に用法を大きく記載したり、薬情にマーカーで印をつけたりと、わかりやすい工夫が大切。こうした気配りが患者さんにとって大きな違いとして受け止められます。
患者さんが子どもの場合、服薬指導を受けるのは付き添いの保護者がほとんどです。子どもに処方された薬に対して不安を感じている保護者は多いため、服薬指導を実施する際は薬の説明に加え、保護者の不安を取り除く対応も求められます。子どものケアに関して不安に感じていることを聞き取り、安心して服用させられるような説明に努めると良いでしょう。
また、薬の種類や剤形によっては子どもが飲むのを嫌がる場合もあるため、飲みやすい対処法を提案してあげると保護者に安心感を与えられます。
高齢の患者さんについては、視力や聴力の低下などに配慮して服薬指導を実施することが大切です。薬袋の文字を読みやすいように大きく記載したり、相手の言動から指導内容を理解できているかを確認したりしながら、相手に必要な情報が伝わるように服薬指導の実施方法を検討しましょう。
薬を自身で管理するのが難しい患者さんに対しては、医師からの服薬指示を確認し、生活習慣や家庭環境に合わせた服薬方法を提案してあげることが大切です。
みずほ総合研究所の報告によると日本に滞在する外国人の人口・増加数・増加率が2019年に過去最高を迎えており、日本に住む外国人の数は今後も増えることが予想されます。医療施設を利用する外国人が増える可能性を考慮すれば、薬剤師にも英会話スキルが求められてくるでしょう。
製薬企業のなかには服薬指導で使える外国語会話集を公開しているほか、英語版のくすりのあんないも発行されているため、今後の外国人への服薬指導のための教材として活用をおすすめします。
患者さんとのコミュニケーションや服薬指導を英語で行うには、日常会話レベルの英語力と使用頻度の高い医療用語の知識が求められます。これらの英会話スキルを高めるには、英会話スクールを利用するか、もしくは英会話教材やe-ラーニングなどを使って勉強すると良いでしょう。
英会話スクールはプロの講師から発音を矯正してもらえるほか、効率的なカリキュラムで実践力を身につけられるのが魅力。オンラインでレッスンを受講できるスクールも増えているため、英会話スクールを利用しやすい環境が整ってきています。独学に比べて費用はかかりますが、着実に英会話スキルを習得するなら英会話スクールがおすすめです。
英会話スクールのなかには、薬剤師や医療関係者向けのカリキュラムを用意しているところもあり、より実践的な英会話スキルを身につけられます。
英語スキルを身につけるには時間がかかりますが、まずは薬局で使える基本的な英会話だけでも押さえておくと良いでしょう。シーン別で使える英会話をいくつかピックアップしたため、外国人の患者さんに対応をする際の参考にしてください。
【処方箋を受け取るとき】
【健康保険証を確認するとき】
【問診票を渡すとき】
【待合室で待ってもらうとき】
石川県薬剤師会のHPにて、薬局・ドラッグストア向けに外国人の応対ツール集が公開されています。用意されている言語は英語をはじめ中国語や韓国語、ポルトガル語の4つ。症状の確認や服薬説明に使えるイラスト付きのため、外国人を応対するときに備えてダウンロードしておくと良いでしょう。
また、田辺三菱製薬やケーエスケーなどのHPでも、外国人の応対に役立つ会話集が紹介されています。
ツールを使用する際は、「私的使用目的の利用」「医療機関内での掲示物」「患者説明用資料パンフレットなどの無料配布物」など使用範囲に条件が設けられていないか必ず確認しておきましょう。
近年の電子薬歴には指導内容をサポートしてくれる機能を持つタイプも多く、新人薬剤師でも一定レベルの服薬指導を行なうことができます。
指導時間も軽減できますし、その機能そのものが服薬指導の勉強にも役立つでしょう。
ここでは、新人薬剤師のスキルアップについてまとめました。
昨今利用されている電子薬歴には、指導文のサジェスト機能やハイリスク薬のアラート機能など服薬指導を効率化・漏れ防止する機能が備わっています。
新人の教育を加速させるためにも、業務の効率化のためにも、電子薬歴の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
本サイトでは「クラウド型」「レセコン一体型」「ハイブリッド型」という種類ではなく、それぞれの薬局が何をもって電子薬歴を選ぶべきか、3つの観点からそれぞれの目的別に電子薬歴を紹介していますので、ぜひ自社に合った電子薬歴選びの参考になさってください。
近年、調剤薬局の形態も多様化しており、様々なタイプに分かれています。
ここではそんな薬局を以下の3タイプに分類し、それぞれにおすすめの電子薬歴をご紹介します。
便利な機能例
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