システム導入を成功させるには、まず現行業務のワークフローを可視化し、課題点や改善余地を洗い出します。その後、“必須要件”と“希望要件”を区分し、ステークホルダー間で合意形成を図りながら要件定義書を作成します。業務フロー図やデータ項目リストを用いて、入出力データの整理と優先順位付けを行い、後続のベンダー選定や設計フェーズへの橋渡しをスムーズに進めることが重要です。このプロセスを丁寧に行うことで、導入後の手戻りを防ぎ、適切なシステム構成が明確になります。
要件定義に基づいてRFP(提案依頼書)を作成し、複数のベンダーに提案を依頼します。提案内容は機能適合性、導入・保守コスト、サポート体制、過去導入事例を基に定量的・定性的に評価します。評価シートを用いてスコアリングを行い、候補を絞り込んだ後、デモンストレーションや現地視察を実施します。最終的に価格交渉と契約条件の詰めを行い、合意に至ったベンダーと導入契約を締結します。正式契約後は、社内プロジェクトチームがベンダー担当者とキックオフミーティングを行い、詳細スケジュールの確定へと移行します。
導入に先立ち、必須となるサーバーやクライアントPC、プリンターなどのハードウェアを手配します。院内ネットワークは院内系とオンライン請求系を二重化し、IP-VPN等でセキュアに接続する構成が推奨されます。LAN工事やスイッチ、ケーブル配線などを専門業者と連携して進め、ネットワーク速度やセキュリティ要件を満たす設計に調整します。機器設置後は電源供給系統やディスク冗長化の確認を行い、安全性と可用性を担保します。
契約締結後、ベンダーの技術者が訪問してインストール作業を行います。日医標準レセプトソフトの場合は、認定サポート事業所によるインストーラーがソフトウェアを導入し、診療科目マスタや点数マスタを最新に更新します。次に、短縮コードや診療セットなど、自院独自の運用に合わせたマスタ設定を行い、テスト用のデータで動作確認を実施します。初期設定完了後には、運用マニュアルやヘルプマスタも整備し、現場でのトラブルを未然に防ぐ体制を整えます。
本番稼働前のテスト運用期間では、実運用に近い処方データを用いて並行稼働を行います。テスト結果を踏まえてパラメータ調整を実施し、エラー検出や再請求率の改善を図ります。同時に、業務担当者向けに操作研修を行い、日常業務で必要な操作フローをレクチャーします。研修は数日から数週間にわたり繰り返し実施し、スタッフが自信を持って操作できるようになるまでフォローすることが成功の鍵です。
テスト運用での確認が完了したら、本番切替の日程を確定します。本番切替当日は受付業務を一時停止し、最終データの同期作業を行った上で運用モードに切り替えます。切替直後は、想定外のエラーが起こりやすいため、ベンダーのサポート担当者が常駐してリアルタイムに対応できる体制を整えます。稼働開始後の一定期間は並行稼働を続け、旧システムとの整合性を確認しながら安定運用へと移行します。
導入後は法改正や診療報酬点数改定に合わせたソフトウェア更新が必須です。認定サポート事業所から配信されるアップデートパッケージを定期的に適用し、最新のマスタやセキュリティパッチを導入します。また、日次・週次のログチェックやサーバー稼働状況のモニタリングを行い、ディスク容量や通信状況を常に監視することで、異常兆候を早期に検知します。こうした定期保守作業を明文化し、運用ルールとして社内に定着させることが、長期的な安定稼働に繋がります。
システム障害時にはまず初動対応フローに沿ってログ取得やエラーメッセージの確認を行い、切り分けを実施します。重大トラブルの場合は24時間ホットラインを設けたサポート拠点へエスカレーションし、ベンダーの専門技術者と連携して迅速な復旧を図ります。日常的にはお問い合わせ管理システムを用いて、発生したインシデントをチケット化し、原因分析と再発防止策を文書化してナレッジ共有する体制を構築します。
診療データは医療機関の重要情報であるため、日次でのフルバックアップとリアルタイムレプリケーションを推奨します。院内外に分散設置されたサーバーへのデータ複製やクラウドストレージへの二重保管体制を敷くことで、災害時も業務継続が可能なBCP(事業継続計画)を実現します。加えて、アクセス権管理や通信経路の暗号化、定期的な脆弱性診断を実施し、情報漏えいリスクを最小限に抑えることが求められます。
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