処方を誤った場合、患者に大きな影響を招く可能性があるハイリスク薬。一般的な医薬品と比べ、徹底した服薬指導が求められます。ここでは、ハイリスク薬を服薬指導する際の注意点や、指導が難しい原因について解説します。
ハイリスク薬は、厳しい安全管理が求められる医薬品の総称です。使い方を誤ると副作用や事故が生じるリスクが高く、薬剤師の視点から薬学的な管理と関与が求められます。医療施設によって定義が若干変わる場合もありますが、投与量や服薬期間の管理の徹底が必要です。
ハイリスク薬に該当する医薬品はさまざまありますが、主に不整脈用剤や免疫抑制剤、血液凝固阻止剤などが当てはまります。他にも、抗HIV薬のように、特殊な医薬品もハイリスク薬に該当します。一方、糖尿病用剤や精神神経用剤など、一般的な診療科で処方される医薬品もハイリスク薬の一種です。いずれにせよ、処方や服薬指導には細心の注意を要します。
ただし、ハイリスク薬は患者の疾患の状態や、医薬品の特性に合わせた処方・服薬指導が求められます。患者のライフスタイルも考慮しなくてはいけないため、じっくり患者と向き合うことも大切です。なお、ハイリスク薬は服薬指導が難しいことから、診療報酬の評価も実施されており、ハイリスク薬加算(特定薬剤管理指導加算1)の算定が認められています。
薬剤師がハイリスク薬の服薬指導を行う場合、患者の生活環境などの情報を収集し、薬学的管理に活用することが求められます。さらに効果と副作用の有無を適宜確認し、万が一副作用が生じた場合は適切に対処する必要があります。また、服薬期間中のアドヒアランスのほか、患者が処方・使用している併用薬・一般医薬品の有無も確認することが重要です。
日本薬剤師会の薬学的管理指導に関するガイドラインでは、下記の5項目を注意事項として挙げています。
患者に対する処方内容のチェックはもちろん、飲み忘れ防止の対応を含めたアドヒアランスの確認も必要です。また、患者の状態を注意深くモニタリングし、併用薬や食事との相互作用もチェックすることが求められます。経験が浅い薬剤師が在籍する場合、対処法を教育指導し、各種注意事項をマニュアル化しておくのもよいでしょう。
ハイリスク薬の服薬指導が難しい原因として、一般的な医薬品に比べて投与量に注意を要する点が挙げられます。患者一人ひとりの状態に合わせなくてはいけないため、継続したモニタリングと薬学的管理・関与が求められます。
また、併用禁忌に注意が必要なことも服薬指導が難しい理由の一つです。ハイリスク薬は併用禁忌も多く、医薬品の薬効に影響を及ぼすケースも中にはあります。副作用にも繋がりかねないため、飲み合わせにも配慮した服薬指導が欠かせません。
もし複数のハイリスク薬を処方された場合、患者に一つずつ服薬指導をする必要があります。しかし、複数のハイリスク薬の服薬指導は複雑化しやすく、薬学的管理の負担も増加します。こうした点もハイリスク薬の服薬指導が難しい原因といえるでしょう。
ここからは、ハイリスク薬の薬歴記載のポイントを解説します。加算を漏れなく取り着るには大切なポイントですので、確認しておきましょう。
ハイリスク薬は、すべての薬歴を記載しなければなりません。加算を算定するために、毎回処方されるハイリスク薬について指導を行い、その薬歴を記載する必要があります。薬歴にハイリスク薬の記載がない場合、ハイリスク加算は算定できません。
ハイリスク薬が複数ある場合も、薬歴にはすべて記載します。指導した事柄や副作用の有無などを記載しますが、確認した内容は具体的に書く必要があります。内容が不十分な場合、加算の算定はできません。
ハイリスク薬の記載については、SOAPとは別で箇条書きにします。ただし、そのハイリスク薬に対するプロブレムを想定して指導した場合は除きます。ハイリスク薬が複数処方された場合は、すべての薬に対して指導が必要です。ですので、薬歴の記載も薬品名を明記したうえで別々にしたほうがよいでしょう。
ハイリスク薬の薬歴記載で注意しなければならないのは、薬が複数ある場合はすべて明記する点です。記載されていないハイリスク薬については、ハイリスク加算が算定できません。
ハイリスク薬の薬歴記載は、調剤報酬点数への加算算定に必要です。調剤報酬は、健康保険法や高齢者医療確保法・国民健康保険法・感染症法などで算定方法が定められています。調剤報酬点数表は調剤に関する行為が細かい項目で分けられており、難易度に応じて点数が付けられています。点数表の中から行った行為を拾い上げ、点数を足したものが請求点数になります。
ハイリスク薬は薬の中でもリスクが高い医薬品であるため、治療を行う際には薬学的管理や指導が不可欠です。そのため、患者に対する処方内容の確認や効果の確認など、患者や薬剤の特性に応じた確認をすることが薬学的管理指導で求められています。
ハイリスク薬を処方した場合、調剤時に注意事項などの説明や関連副作用の有無などを確認することで、「特定薬剤管理指導加算」として10点を算定することが認められているのです。
電子薬歴でハイリスク宅の薬歴記載を行うメリットを紹介します。ただし、電子薬歴システムによって対応範囲は異なるため、ハイリスク薬への対応についてはメーカー側に必ず問い合わせてください。
電子薬歴を利用することで、ハイリスク薬に対して自動でアラートを出す設定ができます。投与量・併用禁忌などへのアラートを出すことで、見落とすことなく安全に指導ができます。
的確な指導のためにも、電子薬歴の利用が便利です。薬歴のページで患者の情報と薬の副作用を同時に閲覧できれば、スムーズに的確な指導ができます。効率的なうえに見落としもなく、リスク回避にもなります。
ハイリスク薬には、併用禁忌薬があります、ハイリスク薬を処方されている方の中には、他の薬も服用しているという方が少なくありません。そこで、電子薬歴に薬歴の記載を行えば、飲み合わせ・食べ合わせの問題も可視化できるようになります。
電子薬歴なら、システムによってはクリック操作でボタンを押すだけで記載が可能です。手書きやタイピングなどの手間がかからず、書き間違えやミスも防ぐことができます。算定要件を満たす服薬指導や確認も、電子薬歴なら見落としを防ぎつつ算定を行いやすくなるでしょう。
調剤薬局でもIT化はとどまるところを知らず、電子薬歴の普及率は80%を超えています(※)。様々な製品が開発・改良される中で、電子薬歴が業務を効率化できるというのは、もはや当たり前。
他方で、一体型、クラウド型、ハイブリッド型といった製品タイプだけで選ぶべきではありません。
製品選びで重要なのは、その上でさらに何を電子薬歴に求めるかなのです。
ここでは、Google検索「電子薬歴」でヒットした36製品を調査(2022年2月9日時点)。「指導文作成を効率化する機能」「処方監査機能」「サポート体制完備」「在宅訪問に対応」といった、基本的な機能が搭載されている電子薬歴の中で、「機能」「費用」「ユーザーコミュニティ」の3つのポイントに沿っておすすめの製品を紹介します。
引用元:シグマソリューション公式HP
https://www.sigma-sol.co.jp/products/elixirs/
患者一人一人にあわせた指導文を簡単に作成
経営を強化できる機能を
多数搭載&経営支援も
引用元:アクシス公式HP
https://medixs.jp/
端末増設時に追加費用
が
かからない定額制
均一な薬歴作成を
図れる
シンプルな
製品
引用元:カケハシ公式HP
https://musubi.kakehashi.life/
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交流会を開催
各分野の専門講師
によるセミナーで
スキルアップ
ハイリスク薬は安全面に配慮が必要で、一歩間違えると患者に多大な影響を及ぼしてしまいます。厳格な服薬指導と薬学的管理が求められますが、薬剤師の負担軽減のために、電子薬歴を導入してみるのも手でしょう。電子薬歴ならハイリスク薬の情報をまとめられ、薬学的管理や業務の効率化が可能になります。
本サイトでは、電子薬歴を導入できる業者の情報を紹介しています。ハイリスク薬の服薬指導でお悩みの場合、業者に相談してみてはいかがでしょうか。