2020年9月に施行された改正薬機法は国民のニーズに応える優れた医薬品や医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供することに加え、住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使える環境を整備するために制度の見直しが行われたものです。ここではその改正薬機法について、概要や押さえておくべきポイントなどを紹介します。
薬剤師及び薬局に関する改正薬機法の施行状況及び最近の状況│第11回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会日本や外国で承認を与えられている医薬品などと作用機序が明らかに異なるような医薬品・医療機器・再生医療などの製品について、「先駆的医薬品」などとして指定する制度を法制化するものです。また、小児用法用量が設定されていない医薬品などについて「特定用途医薬品」などとして指定し、優先審査の対象となることを法律上明確化されるようになっています。更に重篤で有効な治療方法に乏しい疾患について、医療機器や体外診断用医薬品、患者数が少ないなどの理由で検証的臨床試験の実施が困難なものなどについて、承認時の条件を付すことで早期に承認することができる仕組みを取り入れられるようになりました。
これまで医薬品などの製品と一緒に同梱されていた紙の添付文書について、原則として撤廃・電子的な方法での閲覧が基本となりました。ただし、消費者が直接購入するようなものについては引き続き紙の文書が同梱されることとなります。
住み慣れた地域で患者が安心して医薬品などを使用できるように見直された制度の一つとして、薬剤師が調剤時に限らず必要に応じて患者の薬剤使用状況や服薬指導を行う義務を法制化しています。
薬剤師・薬局のあり方見直しとして努力義務に定められたものであり、薬局薬剤師が患者の薬剤の使用に関する情報を他医療提供施設の医師などに提供することも法制化されました。これにより、患者が住み慣れた地域で安心して医薬品を使うことができるようになることが望まれています。
服薬指導については、薬剤師が対面で指導することが原則として義務付けられています。オンライン診療などで処方が行われた場合においても、患者ないしその家族が薬局に処方箋の原本を持参し、服薬指導を受けなければなりませんでした。しかし本改正においては一定のルール下であればテレビ電話などによる服薬指導を例外として認める旨が規定されています。
患者が自身に適した薬局を選択することができるよう、「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」という名称を都道府県の認定により表示することが可能になりました。これは各関係機関と連携をとりながら適切な医療を患者に届けるためのものであり、電子薬歴におけるデータ提供の容易さなどは重要なポイントとなってくるでしょう。
服薬フォローとは調剤時に患者、ないし看護をする方に対して必要な情報を提供するとともに必要な薬学的知見に基づく指導を行うことを指します。患者がさまざまな薬剤を使用している期間中における継続的なフォローアップは、以前から重要な業務として認識されていました。今回の薬機法改正に伴い今よりも更なるフォローアップが義務化されており、継続的かつ的確に薬剤の使用状況を把握し、患者や看護・介護を行う方に対して薬学的知見に基づく指導を行うこと、と定められるようになっています。
服薬フォローアップは、来局から次の来局までの期間を一つのサイクルと考え、薬学的知見に基づいたPDCAサイクルを繰り返すこととなります。このフォローアップ方法については明確に定められておらず、各薬剤師の専門性に委ねられる形となります。初回来局時の聞き取りにおける正確な情報収集をはじめ、薬剤交付から次回来局までのフォローアップ実践、実践で得られた情報の分析、医師へのフィードバックなど対応すべき事項はさまざまです。これらのフォローアップ内容も記録することが義務付けられており、電磁的な記録方法で共有されることも増えてきています。
そもそもの医薬分業とは、医療のプロである医師による処方・薬剤のプロである薬剤師が処方を吟味して調剤するというプロセスを経ることで、有効性と安全性を両立させるためのシステムでした。しかし現実では医療機関の周囲に調剤だけに専念するいわゆる「門前薬局」が乱立している状況であり、核心である服薬情報の一元化が実現はしていません。今回薬機法の改正がなされたのも、少子高齢化が進みゆく地域医療において、薬剤師がしっかりと患者と向き合い医薬分業をあるべき姿に是正すべき、というような声があったためとも言われています。薬局や薬剤師はモノやカネだけではなく、ヒト・患者に軸足を移していくことが求められているという事実を認識しなければいけません。
近年ではさまざまなものがDX化・IT化されており、どんどん便利な世の中になっています。薬剤師の業務も例外ではなく、電子薬歴などにより紙管理からデータ管理へと、時代と共に変わりつつあります。薬歴をデータで管理することができると、今回の薬機法改正の目的でもある医療機関の連携も図りやすくなり、情報共有もスムーズになります。最近ではオンラインでの服薬指導も認められるようになるなど、医療機関にかかる患者の方々にとっても安全・安心で利用しやすい環境になりつつあります。
電磁的な情報管理・情報共有は、今回の薬機法改正の目的ともいえる「住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使う」ためにも必要であるといえます。電子薬歴による管理・共有も、今後の地域医療にとっては欠かせない手段となってくるでしょう。
近年、調剤薬局の形態も多様化しており、様々なタイプに分かれています。
ここではそんな薬局を以下の3タイプに分類し、それぞれにおすすめの電子薬歴をご紹介します。
引用元:シグマソリューション公式HP
https://www.sigma-sol.co.jp/products/elixirs/index.html
便利な機能例
引用元:メディクス公式HP
https://medixs.jp/
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引用元:Solamichi公式HP
https://site.solamichi.com/
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